マッサージゲームがないなら自作する。ブラウザゲーム『解剖学整体院』の開発記と反省
こんにちは。麗です。
今日は、当サイトで公開しているブラウザゲーム**『解剖学整体院』** についてお話ししたいと思います。
このゲームは、まだ完成形とはいえません。作品と呼ぶには中途半端な、いわば「試作品」です。
それでも、私が制作を通して得た学びや、身体や筋肉に対する興味、ゲームに込めたかったアイデアが詰まっているため、公開してみることにしました。
これまでに作った他のツールやゲームと比べても、かなり異色な雰囲気の作品です。だからこそ、今の段階で一度、記事として残しておきたいと思いました。
『解剖学整体院』はどんなゲームなのか?
このゲームは、一言でいうと**「整体シミュレーションゲーム」**になるかと思います。
患者さんのカードや質問から症状の手がかりを集める「問診」、人体図から筋肉を選ぶ「触診」を行い、候補の中から症状の原因となっている筋肉に当たりをつける。
そして最後に、指圧やストレッチなどの手技を選んで施術します。
正しい筋肉を狙って施術できると、お客さんからの評価が上がり、整体院全体の口コミもよくなっていきます。
一方で、間違った施術をすると評価が下がってしまう。
そんな内容のゲームです。
「マッサージ×ゲーム」が見つからなかった
このゲームを作り始めたきっかけは、以前ふと**「マッサージ屋さんの経営ゲームをやりたいな」**と思ったことでした。
ところが、私が探した範囲では、それらしいゲームをほとんど見つけられなかったんです。
病院や美容院を題材にしたシミュレーションゲームはたくさんあるのに、マッサージ屋さんを扱ったゲームはあまりない。
「ないものは自分で作る」
これが、私の開発における基本的なマインド。
そのため、いつか自分で作ってみようと思っていたんですよね。
筋肉そのものではなく、解剖学が好き
少し話がそれるかもしれませんが、私は筋肉が大好きです。
ただし、ムキムキの身体を眺めるのが好き、という意味とは少し違います(笑)
筋肉が身体のどこからどこへつながっているのか。 どのような動きを生み出し、他の筋肉とどう関係しているのか。
そういった解剖学的な観点からみる筋肉が好きなんです。
私は定期的にジムへ通い、トレーニングを続けていますが、自分の身体を実際に動かしながら、筋肉の働きを知ることが目的。
「筋肉を知るために筋トレをする」という、少し変わった感覚を持っています。
できれば、そんな自分の興味を、そのままゲームにも反映させたいと思いました。
施術と経営をどう両立するか
開発を始めるにあたり、どのようなゲームにするべきか、かなり迷いました。
経営要素に寄せすぎると、「マッサージ屋さん」を題材にする意味が薄くなってしまいます。
ただ数字を管理するだけではなく、実際にお客さんの身体に触れ、施術する感覚をゲームに取り入れたいと考えました。
そこで、次の3つを軸に企画を組み立てました。
- 施術を重視する
- 経営要素を取り入れる
- 筋肉図鑑を取り入れる
この3つの条件をもとに、開発を進めていきました。
問診、触診、推理、施術
最終的には、企画していた要素をそのまま反映するような形で、現在のゲームができあがりました。
ゲームでは、最初に患者さんの症状を確認します。
質問できる回数には限りがあるため、どの情報を聞き出すかを考えなければなりません。
次に、人体図から症状に関係していそうな場所を選び、触診 します。
触診で得た情報をもとに、候補となる筋肉の中から「主犯筋」と「共犯筋」を選びます。
最後に、症状に合っていると思う手技を選び、施術を行います。
問診、触診、推理、施術。
この一連の流れをゲームとして体験できることが、『解剖学整体院』の中心的な仕組みです。
反省1:医療類似行為を扱う難しさ
作り始めた当初は、もっとリラックスして遊べるマッサージゲームを想像していました。
ところが、問診、触診、原因の考察、施術という流れを組み込んでいくうちに、リラクゼーション施設というよりも、治療院を体験するゲームに近づいていきました。
治療院に近づけば近づくほど、ゲームとして扱うことは難しくなります。
なぜなら、身体の症状や原因について断定的に表現すると、単なるフィクションでは済まなくなる可能性があるからです。
特に「診断」は医療と深く関係する行為であり、医師法をはじめとする法律にも関わる可能性があります。
そのため本作では、実際の医療行為や施術技術を教えるものではなく、ゲーム用に簡略化したフィクションであることを明記しています。
しかし、どこまで現実の知識を使い、どこからゲームとして単純化するのか。
今回の制作では、その境界を決めることの難しさを感じました。
業界に対するドメイン知識はそれなりに持っているつもりでしたが、それでもまだ足りなかったことを痛感しました。
反省2:学習アプリのようになってしまった
もうひとつ難しかったのが、ゲームの難易度です。
当初は、気軽に楽しめる**「筋肉クイズ」**のようなものを想定していました。
ところが、実際に作ってみると、難易度が非常に中途半端なものになってしまいました。
解剖学の知識がある人にとっては、答えが一目瞭然です。
一方で、解剖学の知識がない人にとっては、筋肉の名前や位置を見ても、何を選べばよいのか分かりません。
簡単にすると、推理する面白さがなくなる。
難しくすると、解剖学の予備知識が必要になる。
その結果、完成したものをあらためて見ると、ゲームというよりも筋肉の学習アプリのようになっていました。
私は、学ぶこと自体を目的として設計したわけではありません。
ゲームとして遊んだ結果、少しだけ身体や筋肉に興味を持ってもらえる。そのくらいの距離感を目指していたつもりでした。
今後発展させるのであれば、最初から学習アプリとして再設計する方法もあると思います。
しかし、本格的な教材にするためには、幅広い知識や技術を網羅し、内容を継続的に検証していく必要があります。
また、整体や身体に関する理論には、さまざまな流派や考え方があります。それらをひとつの正解としてまとめることも簡単ではありません。
「学べるゲーム」に見えるからこそ、どの程度まで内容に責任を持つのかを、きちんと考える必要があると感じました。
反省3:理想の人体図を用意できなかった
制作面で最も大きな反省点は、人体図のクオリティです。
このゲームでは、筋肉の位置を確認したり、触診する場所を選んだりするため、人体図が重要な役割を持っています。
しかし今回の制作では、理想としていた水準の人体図を用意できませんでした。
解剖学的な正確さ、画面上での見やすさ、ゲームとしての分かりやすさ。
この3つを両立するためには、専門的な知識だけでなく、イラストやUIデザインの力も必要です。
そして、人体図にはもうひとつ大きな問題があります。
リアルなイラストにすると、かなり「気持ち悪い」のです。
筋肉好きの私が見ても気持ち悪いと感じるので、解剖学に慣れていない人にとっては、さらに抵抗があるのではないかと思います。
しかし、見やすさを優先して抽象化すると、今度は筋肉の位置が分かりにくくなります。
リアルにすると気持ち悪く、抽象化すると分かりにくい。
そのバランスをうまく取ることができず、結果として、仮の人体図をそのまま使用した状態で公開しています。
もはや人体図と呼べるのかも怪しいものですが、現在の私にできる範囲で形にしたものです。
それでも公開した理由
反省点ばかりのアプリですが、それでも公開したのは、マッサージ屋さんを題材にしたゲームには、まだ可能性があると感じているからです。
私が開発するゲームの多くは、自分が「作りたい」ものというよりも、自分が「やりたい」と思うものです。
『解剖学整体院』も、そのひとつでした。
完成度が低いからといって非公開にしてしまえば、このアイデア自体も、そこで止まってしまいます。
だからこそ、公開することで、未来の開発者にアイデアを託したいと思いました。
それは、いつか再びこのゲームを作り直す私自身かもしれませんし、まったく別の開発者かもしれません。
誰かがこのアイデアをヒントにして、もっと遊びやすく、もっと魅力的なゲームへ発展させてくれたらいいな。
そんな淡い期待を込めて、公開することにしました。
おわりに
『解剖学整体院』は、リラクゼーションゲームを作るつもりが、解剖学への興味を詰め込んだ結果、治療院体験ゲームのようになってしまった作品です。
ゲームとしても、学習コンテンツとしても、まだ完成品からは程遠い、試作品の段階にあります。
それでも、患者さんから話を聞き、原因となる筋肉を推理し、施術を行うこと。
お客さんからの評価を高め、整体院の売上を伸ばしていくこと。
そうしたアイデアには、まだ発展させられる可能性があると思っています。
未完成ではありますが、私の興味や試行錯誤が詰まったゲームです。
よろしければ、覗いてみてください。
※本作は、フィクションとして制作されたエンターテインメントゲームです。登場する手技や解剖学情報はゲーム用に簡略化されており、実際の施術技術や医療行為を教えるものではありません。身体の不調については、医師や適切な資格を持つ専門家へご相談ください。